マジックと共に生きるマジシャンたち。このインタビュー企画では、彼らの人生を紐解きながらマジックの魅力をお伝えするだけでなく、凄まじい速さで技術が進化する現代社会において、マジックの未来をどう予測しているのかを、たっぷりと語っていただきます。
栃木県生まれ東京育ち。
新宿歌舞伎町の中心地で15年続くマジックバーCUORE(クオーレ)の、オーナーマジシャン。日本では珍しいショースタイルでのクロースアップマジックやイリュージョンを得意とする。
― マジックとの出会いについて教えてください。
「学生の頃はマジックに興味は無かったです。いったん就職したけどエンターテインメントに興味があったので仕事を辞めて、ショーパブでダンサーをしていた23歳の時にマジックを始めたのでかなり遅い方ですね。
そのお店ではショーの合間にマジシャンが各テーブルを回ってマジックを披露していて、それを見て「これは接客に使えるな!」と思い、マジシャンに弟子入りしたんです。
やがてお店に僕のマジック目当てのお客さまが来るようになって。周囲からもダンスよりマジック1本でいった方がいいんじゃないかという声を沢山頂いたので、お店を辞めてマジシャンとして働く決心をしました。」
― 不安は無かったのですか?
「それが無かったんですよ。
小さい時から自分は、好きなことを見つけたら突き詰めるタイプだったので、マジックの練習も苦に思ったことは一度も無くて。これって決めたら不安は一切なかったです。」
― どのように技術を磨かれましたか?
「ショーパブを辞めた後、北海道から沖縄まで全国のマジックバーを回って勉強しました。つては一切なかったけど、お店に行くと『おお、やってみろ』ってマジックをやらしてくれるんですよ。本当に皆さんに良くしていただいて、楽しい思い出ばっかり。」
― 影響を受けたマジシャンは?
「ステージのように音楽や照明を使ったテーブルマジックをされる、マジックバー ハーフムーンのヒデさん。影響を受けてショーチックにテーブルマジックをするようになりました。」
― マジックバーCUOREの設立に歌舞伎町を選んだ理由は?
「CUOREの前に働いていたマジックバーも新宿だったので馴染みのお客さまもいたし、なによりこの街が好きだったからですね。それに銀座や六本木はマジックバーが多いけど、新宿には当時1店舗も無かったんです。今でもうちを含めて2件しかない。」
― 意外です!土地柄から観光客のご来店が多いですか?
「そうですね、全国から観光でいらっしゃいますし、僕は英語でのマジックもできるので海外のお客さまも多いです。」
デヴィ夫人ご来店時のツーショット
― 海外と言えば、心さんは「ハリウッドにある会員制クラブ マジックキャッスル」への出演経験がありますが、出演することになった経緯を教えてください。
「日本人のマジシャンをスカウトする面接担当の方がうちの店に来て、僕のマジックを見て『ぜひマジックキャッスルに出てほしい』と言ってくださり、向こうで面接を受けることになったんです。」
― 出演してみてどうでしたか?
「お客さまにはドレスコードがあり、もう、日本のドレスアップとはわけが違うんですよ。気合の入った服装のお客さまの前でマジックをするので、緊張感は半端なかったです。簡単に出られるところではないので、他の出演者達のレベルもかなり高かったです。
アメリカの方はリアクションも大きくスタンディングオベーションがあるなど、ステージをやりやすい環境ではあるけど、その期待に応えなきゃいけないというプレッシャーもありました。
そんな中でプロデューサーとも何度もミーティングを重ねて、どうやったらお客さまに喜んでもらえるかを考えていきました。
マジックキャッスルでの出演はその後のマジックの土台になったし、沢山のことを学びました。マジックキャッスル用に新しく作ったマジックは、日本に帰ってからも披露しています。」
格式高いマジックキャッスルのお話はとても興味深いですね。
さて、後編では日本と海外シーンの違いなど、心さんだから話せること盛りだくさんです。乞うご期待!
マジシャン心 のショースタイルのマジックを オンラインで楽しもう!
協力
新宿歌舞伎町:マジックバー CUORE https://withmagic.com/?mode=f3
この記事のライター
金子夕生(かねこゆうみ):コピーライター
大阪にある広告制作会社㈱アドミレーションセンター所属。
趣味はお酒とお化け屋敷。