『2.5次元』にも!演出家にかかせない“マジック”の魅力。

『2.5次元』にも!演出家にかかせない“マジック”の魅力。
この記事を読むための時間:2分

なぜ“マジック”?

演出をする時『ここぞというシーンを際立たせたいが、何か物足りない』。そんなことを思ったことはないだろうか?そこで役立つのが“マジック”である。実際未だ勢いを増す『2.5次元』でも使われている。 今回はそんな“マジカルな演出”の魅力、使い所を紹介していきたい。

イメージ定着のための“マジカル”な演出

“ミュージカル『刀剣乱舞』 加州清光 単騎出陣 アジアツアー”。今や誰もが一度は名を聞いたことがあるであろう大人気ゲームを原作とした2.5次元ミュージカル。そのキャラクター『加州清光』(役: 佐藤流司)による、“ソロライブ”でのシリーズだ。2019年に3年目となり、4月下旬より『アジアツアー』として上海、バンコク、マカオでも公演された。千秋楽は勿論日本。 “幕張メッセでは2公演で約1万6,000人を動員“と人気も好調。また専用サイトにてアーカイブ配信も行っている。(2020年現在) そんな大規模な公演にも“マジック”は使用されている。 が、まずは本編であるミュージカルを搔い摘んで説明しよう。

愛されし打刀の単騎ライブ

キャラクターのベースカラー『紅と黒』を惜しみなく使ったミュージカル。
『黒』を中心に静まり返った中、ゴシック調な椅子に座り、仮面を纏った加州が指を鳴らすことで始まる。中盤はペンライトでも指定されている一番のイメージカラー、『紅』を使った様々な衣装が登場。最後にまた『黒』を基調した色味で歌い切る。
そして別れの挨拶を告げる際に登場するのが、『ミュージカルの加州清光』を象徴する『紅い薔薇』を使った“マジック”だ。

このワンシーンに注目

“恒例”の一芸『紅い薔薇』

加州が小さな紙を持ち、蝋燭で下から燃やす。すると燃え盛る火の中から、見事な『紅い薔薇』を出現させる。そして開始に使った仮面と共に椅子へあしらわれ、紅いライトが会場を包み込み幕を閉じる。
短くわかりやすい。それでいて印象深く、まさに“恒例”の締めにふさわしい。
また、薔薇の形をしたグッズもあり、見事イメージ定着に成功している。

『演出家』のための“マジック”活用例

上記はあくまでイメージ定着を目的とした分かりやすい “マジック”の例だ。観客が予期せぬ所で驚かすための“マジカルな演出”として活用することも勿論可能である。つかみや一番主張したいシークエンスの強調にも“マジック”は有効な手段だ。今度は私が携わった舞台で使用した実例を挙げていこう。

このワンシーンに注目

導入…日常世界に『精霊』の登場

現代社会版『アラジン』を想像していただきたい。物語導入を派手に盛り上げつつ、魔人(精霊)が魔法を使えるアピールをしたい。その二つを補った“マジック”が瞬間移動だ。ミュージカルを添えつつ『主人公の部屋で机から手足を出しながらも、瞬く間に離れた棚から出現』。双方両立させた演出へ一役買った。

このワンシーンに注目

変身…抽象舞台ならではのギャップ

暗い夜と遠くに見えるビルのシルエット群。『黒と白』で作られた舞台で話は進む。物語の終盤、主人公が葛藤する中、劇中の鍵となる謎が明かされる大事なシーン。そんなクライマックス手前に大きく貢献してくれたのも “マジック”だ。暗転、次の章に進む。そこで明転した時、舞台が文字通り『白』一色な空間へと変貌する。舞台本体が黒から白へ『早着替え』したと思っていただければいい。そうして強烈な『白』の主張で緊張感が高まった中、話の核心に迫る。だが『演出』的にはそれだけではない。舞台が白くなったことで照明の影響がより一層増し、前半の舞台と大きく味が変わる。『観劇後の白と黒のイメージ逆転、物語の緩急、照明への影響』一つの“マジック”で一鳥三石を生むことに成功した。

『舞台』と“マジック”の今後

今後も『2.5次元』は広く世に愛さるだろう。既に観劇の仕切りを下げることに寄与している。まずは一匙、持芸として添える所から始めてみてはいかがだろうか。そして観客の皆様には是非、キャラクターを通じて役者を知る様に、作品からマジックに親しんでいただければ幸いだ。

この記事のライター

Takuzai:
大学から芝居の世界へ。当時は主に役者、装置。脚本&演出を最期に退団。
現在は役者を主軸に稽古中。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です